
この記事でわかること
- 「結婚相談所の離婚率10%」に一次資料はなく、出会い方別の離婚率という公的統計は存在しないこと
- 粗離婚率1.55・3組に1組(約38%)・生涯累積約0.32は計算方法が違う別物で、並べて比較できない理由
- 約2万人調査で示された、30代は相談所婚がアプリより約23%・職場や学校より約47%離婚しにくいという相対差
- 離婚動機1位「性格が合わない」から逆算した、真剣交際までに必ず確認しておく5つの論点
先に結論をお伝えします。「結婚相談所の離婚率は約10%」という数字に、たどれる一次資料はありません。厚生労働省の人口動態統計は「どこで出会ったか」を追跡していないため、出会い方別の離婚率という公的データはそもそも存在しないからです。
ただし、比べる方法がまったくないわけではない。約2万人を対象にした民間の大規模調査では、結婚相談所での出会いが最も離婚しにくいという結果が出ています。
この記事では、その数字の中身と限界、そして成婚退会(相談所を通じて結婚を決め、退会すること)までに何を確認しておけば後悔が減るのかを、順に整理していきます。
この記事は結婚相談所の現役カウンセラー「さかとく」が書いています
IBJ加盟相談所で今も数十名の会員を直接担当する現場経験をもとに、一般論ではなく「実際どうすればいいか」をお伝えします。
結論|結婚相談所の離婚率は「10%」ではなく「他の出会い方との差」でしか語れない
入会前の面談で「相談所で結婚した人は離婚しにくいって本当ですか」と聞かれることは、珍しくありません。50〜60万円を払う判断の前に、その先が続くのかを確かめたい。当然の感覚だと思います。
ところが「離婚率10%」を掲げるページを何十本たどっても、出典にたどり着けません。婚活メディアのナレソメノートも、この10%について一次ソースが見つからないと明言しています。業界内の推計値が、出典のないまま引用され続けている状態です。
ですから、この記事では10%という数字を使いません。使えるのは次の2つだけです。
- 公的統計が示す、日本全体の離婚の起こりやすさ
- 大規模調査が示す、出会い方ごとの相対的な差
「相談所は何%か」ではなく「他と比べてどれだけ違うか」。問いをここに置き換えると、答えられる話になります。
「離婚率」には4つの別物が混ざっている|3組に1組・1.55・10%を並べてはいけない
数字がバラバラに見える最大の理由は、計算方法が違うものを同じ言葉で呼んでいるからです。
| 呼ばれ方 | 計算方法 | 数字の目安 | 何を表すか |
|---|---|---|---|
| 粗離婚率 | 年間の離婚件数÷人口(千対) | 1.55(2024年) | 人口あたりの離婚の起こりやすさ |
| 3組に1組 | 同じ年の離婚件数÷婚姻件数 | 約38%(2024年) | 分母と分子が別の夫婦。比較としては誤用 |
| 生涯累積 | 年齢別に追った累積の割合 | 約0.32 | ひと組の夫婦が生涯で離婚する確率に近い |
| 相談所の◯% | 各社の自社集計 | 1%未満〜10%と幅 | 集計範囲も追跡期間も各社バラバラ |
2024年(令和6年)の人口動態統計確定数では、婚姻485,063組・離婚185,895組、離婚率は人口千対1.55。翌2025年の月報年計(概数)では婚姻489,119組・離婚179,068組と、離婚は前年より6,836組減っています。
一方「3組に1組」は、今年離婚した夫婦の多くが今年結婚した夫婦ではない以上、割り算として成立しません。東洋経済オンラインなどが指摘している通りで、年齢別に追った生涯累積で見ると約0.32。結果的に「3分の1」に近い値にはなりますが、たどり着き方がまったく違います。

つまり「日本全体は38%、相談所は10%だから4分の1」という比較は、単位の違うものを割り算しているだけ。ここを分けて考えられると、他の記事の数字にも振り回されなくなります。
婚活の離婚率を出会い方別で見ると|30代は相談所がアプリより約23%低い
出会い方別に離婚を調べた大規模なものとしては、ナレソメ総研が2025年2月に実施した調査があります。婚姻歴のある30〜49歳、19,639名が対象です。
結果は、離婚の出現率が最も低いのが結婚相談所。次いでマッチングアプリ、そして職場や学校といったコミュニティという順でした。差の大きさはこうです。
- 30代:相談所はアプリより約23%、コミュニティより約47%、離婚のリスクが小さい
- 40代:同じく約17%、約19%小さい
注意していただきたいのは、これが「相談所は◯%」という絶対値ではなく、あくまでグループ間の相対差だという点。そして単一企業による調査であり、公的統計ではありません。参考値として受け取るのが妥当です。
この差を「相談所のおかげ」と言い切れない理由
相談所の会員は、独身証明書や収入証明を提出できる人に偏っています。年齢層も高め。つまり、もともと結婚生活が安定しやすい条件を持った人が集まっている可能性があります。
この調査では、差が「相談所の仕組みの効果」なのか「集まる人の属性」なのかを切り分けられません。相談所を運営する立場としても、ここは正直に書いておきます。数字の低さが、あなた個人の結婚生活を保証してくれるわけではないのです。
「スピード婚だから離婚しやすい」は本当か|見合い婚の交際期間2.8年という数字
相談所を検討する方が次に不安になるのが、進むスピードです。半年で出会って決めるなら、離婚も早いのでは──そう考えるのは自然でしょう。
データを並べます。国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査(2021年)によると、入籍までの交際期間の平均は見合い結婚2.8年、恋愛結婚4.9年、全体4.3年。IBJの「2025年 IBJ成婚白書」では、成婚者19,112名のお見合いは平均11回、交際期間は約4ヶ月(124〜125日)で決断、在籍期間の中央値は男性9.2ヶ月・女性7.6ヶ月です。
一方、人口動態統計の同居期間別で見ると、離婚は同居5年未満が最も多く全体の約27%を占めます。
この2つを並べて「短期決断は危ない」と結ぶ記事は多い。ですが現場の感覚は少し違います。
問題は期間の長さではなく、その期間に確認した項目の数です。4年付き合っても、お金の分担と親との距離と子どもの希望について一度も具体的に話していないカップルは実際にいます。逆に4ヶ月でも、カウンセラーが間に入って一つずつ潰していけば、確認済みの項目数は前者を上回ることがある。時間は自動的に理解に変わってくれません。
真剣交際に進んでから「お金の話はまだしていません」というご相談は、現場ではよく受けます。期間が短いことより、そちらのほうがずっと危うい。
相談所でも離婚するとき|真剣交際でつぶしておく5つの論点
2024年の司法統計を集計したアディーレ法律事務所のまとめでは、離婚申立ての動機1位は男女とも「性格が合わない」(男性59.9%/女性38.3%・複数回答)。ここから逆算すると、成婚退会前に言葉にしておくべき論点が見えてきます。
- お金:財布は共通か別か。毎月いくら貯めるか。相手の借入の有無
- 働き方:出産後も働くのか。転勤や転職が出たときの決め方
- 親:同居の可能性。年に何回帰省するか。介護が始まったときの分担
- 子ども:希望の有無と人数。授かれなかった場合にどうするか
- 機嫌が悪いときの態度:黙るのか、言うのか。謝り方はどうか
5つ目を軽く見ないでください。「性格が合わない」の正体は、たいてい調子の良い日ではなく、疲れている日の振る舞いです。
切り出し方に困る方には、こう伝えています。「聞きにくいことをまとめて聞く日にしませんか。私も答えます」。質問ではなく交換として提案すると、詰問になりません。相手が言葉を濁したときは、その場で追わず、後日もう一度同じ話題に戻します。二度目でも濁るなら、それは答えです。
この段階で覚える違和感の扱い方は、真剣交際の違和感は3種類|消える違和感と消えない違和感の見分け方で詳しく整理しています。判断に迷ったときの目安として使ってみてください。
見落とされがちな空白|成婚退会から入籍までの3〜6ヶ月
離婚率の話に隠れて、ほとんど語られない期間があります。成婚退会から入籍までの3〜6ヶ月です。約8割がこの期間に入籍する一方、業界では破談が2〜3%程度あると推計されています(各社の推計値で、公的な裏付けはありません)。
カウンセラーの伴走が終わり、両家の顔合わせ・式・住まい・お金という現実的な調整が一気に来る時期。ここで初めて価値観の差が表に出ることがあります。相談所によって退会後のフォロー範囲は違うので、入会前に「成婚退会後もいつまで相談できるか」を確認しておくと安心です。
なお、真剣交際そのものが終わる確率については真剣交際の終了率は16.9%〜4割?数字が割れる理由と終わらせ方で扱っています。こちらも会社ごとに数字が割れる典型例です。
よくある質問
Q. 結婚相談所の離婚率はどれくらいですか?
A. 公的に確認できる数字はありません。「約10%」「1%未満」はいずれも各社の自社集計または出典不明の推計で、集計範囲も追跡期間も揃っていないため横並びで比較できません。相対的な差として参考にできるのは、前述のナレソメ総研調査(2025年2月・n=19,639)程度です。
Q. マッチングアプリと結婚相談所ではどちらの離婚率が高いですか?
A. 同調査では、30代でアプリのほうが約23%、離婚のリスクが大きいという結果でした。ただし利用者の年齢や年収の分布が異なるため、この差がそのままサービスの優劣を示すとは言えません。40代では差が約17%まで縮まります。
Q. 結婚相談所のスピード離婚率は?
A. 相談所経由に限定した「同居5年未満の離婚率」を追跡した公表データは見当たりません。日本全体では離婚の約27%が同居5年未満で起きています(人口動態統計)。交際期間の短さそのものより、確認すべき項目を飛ばしたまま入籍したかどうかのほうが影響は大きいと考えています。
Q. 結婚相談所の離婚率は低いと言われるのはなぜですか?
A. よく挙がる理由は、結婚を前提に始まること、独身証明や収入証明で身元が確認されていること、第三者が間に入って条件をすり合わせること。いずれも筋は通りますが、会員の属性が偏っていることの反映という可能性も残ります。仕組みの効果だけで説明はできません。
離婚率を調べる手を止めて、今日確認できること
「相談所なら離婚しにくいらしい」を入会の理由にすると、入ったあとに迷子になります。数字が守ってくれるのは統計上の集団であって、あなたと目の前の相手ではありません。
代わりに持ち帰っていただきたいのは、先ほどの5つの論点です。まだ活動を始めていない方は、自分の側の答えを書き出すところから。すでに交際が進んでいる方は、次のデートで1つだけ話題に出してみてください。
費用に見合うかどうかを含めて考えたい方は、結婚相談所は金の無駄?無駄にしない5ステップと撤退ラインの決め方もあわせてどうぞ。判断の基準を先に決めておくほうが、結果的に迷う時間は短くなります。
ご自身の状況を整理したいときは、無料相談で現在地と次の一歩をお伝えしています。無理な勧誘はしません。
この記事の要点
- 「結婚相談所の離婚率10%」に一次資料はなく、出会い方別の公的統計も存在しない
- 粗離婚率1.55・3組に1組(約38%)・生涯累積約0.32は計算方法が違う別物で、並べて比較できない
- 約2万人調査では30代で相談所婚がアプリより約23%、職場・学校より約47%離婚しにくいが、会員の属性の偏りが影響している可能性がある
- 離婚動機1位は「性格が合わない」。真剣交際でお金・働き方・親・子ども・機嫌が悪いときの態度を確認しておく
- 成婚退会から入籍までの3〜6ヶ月にも破談は起こり得る(業界推計2〜3%)
※本記事の数値は、公表統計および各社公表資料の執筆時点の内容にもとづく目安です。調査の母集団・算出方法が異なるものを含み、今後変動する可能性があります。婚活の結果や結婚生活の継続を保証するものではなく、成果には個人差があります。
