
この記事でわかること
- 「身の程知らず」は人柄の評価ではなく、条件を重ねて候補が何%残るかという算数の問題だと分かります
- 給与所得者の男性で年収600万円超は36.2%、30代男性で800万円以上は5.3%。母集団ごとの除外率を確認できます
- 成婚女性の申し込みは26件・お見合い11回、非成婚は13件・5回。条件より先に行動量を疑う基準が分かります
- 条件を絶対3つ・交換可・好みに仕分け、4週間後に申込/成立/申し受けの実数で検証する手順が分かります
結論からお伝えします。「身の程知らず」かどうかは、その人の人柄や価値を評価した言葉ではありません。希望条件を重ねたときに、婚活市場に何人残るかという掛け算の結果です。だから直すべきは自分自身ではなく、条件の並べ方と優先順位です。
この記事が扱うのは、IBJ(日本結婚相談所連盟)に加盟する結婚相談所で活動する30〜40代の方の条件設定です。相手を採点する意図はありませんし、誰かを「痛い」と断じることもしません。前半で条件ごとに候補が何%残るかを実数で示し、中盤で「条件の高さ」より先に効く行動量の話、後半で条件を下げずに入れ替える3ステップとセルフチェック、最後によくある質問と出典を並べます。
この記事は結婚相談所の現役カウンセラー「さかとく」が書いています
IBJ加盟相談所で今も数十名の会員を直接担当する現場経験をもとに、一般論ではなく「実際どうすればいいか」をお伝えします。
結論:「身の程知らず」は性格ではなく、条件の掛け算の問題
先に、この記事で使う言葉を3つだけ整理します。混同したまま読むと、数字の意味がずれてしまうためです。
- ①お見合い申し込み…こちらから相手に会いたいと申し込むこと。アプリの「いいね」にあたる動作です。
- ②お見合い成立…申し込みに相手が応じ、実際に会う日程が決まること。
- ③申し受け…相手側から自分に申し込みが届くこと。自分が市場でどう見られているかが最も素直に出る数字です。
この3つのうち、「身の程知らず」という言葉が向けられるのは、たいてい①の希望条件です。けれど実際に成婚まで届くかどうかを左右しているのは、②と③の実数のほうです。
条件はAND(かつ)で効きます。年収・年齢・身長・喫煙・勤務地と5つ並べれば、それぞれは常識的でも、全部を満たす人は急激に減る。ここに自覚がないまま活動が進むと、「条件が高い人」という評価だけが先に付いてしまいます。

先に、「身の程知らず」と言われたときの受け止め方
この言葉は、SNSや匿名掲示板、ときには知人との雑談の中から飛んできます。使う側にとっては「理想が高い」「市場価値を分かっていない」を短く言い換えただけの、便利で乱暴なラベルです。実際に言われた経験がなくても、条件の話をする前に自分でこの言葉を自分に向けてしまう方は少なくありません。
受け止め方はひとつ覚えておけば足ります。評価として受け取らず、質問に変換すること。「私は高望みなのか」ではなく「いまの条件で、候補は何%残るのか」。前者は何時間考えても答えが出ませんが、後者は十分ほどで数字が出ます。落ち込んでいた時間を、残り%を数える作業に置き換える。この記事の残りは、その手順です。
条件ごとに「候補が何%残るか」を実数で見る
いちばん数字で検証しやすいのが年収です。国税庁の令和6年分「民間給与実態統計調査」(2025年9月公表)では、給与所得者全体の平均給与は478万円、男性に限ると587万円でした。
| 希望する年収 | 対象(母集団) | その条件を満たす割合 | 裏返すと |
|---|---|---|---|
| 400万円超 | 給与所得者(男性全体) | おおむね6割台 | 多数派が残る |
| 600万円超 | 給与所得者(男性全体) | 36.2% | 約6割が対象外 |
| 600万円台のみ | 給与所得者(男性全体) | 10.3% | 帯で切ると1割 |
| 800万円以上 | 給与所得者(30代男性) | 5.3% | 20人に1人 |
※最終行だけは30代男性に限った割合です。母集団が違う数字なので、上の3行と同じ軸で比べないでください。なお年収600万円超の割合は、同じ調査でも「給与所得者全体」で見ると24.9%、「男性のみ」で見ると36.2%と表記が変わります。ネット上で数字が食い違って見える原因は、多くがこの母集団の違いです。婚活で使うなら男性ベースの36.2%のほうが実態に近い、と押さえておけば十分です。
「普通の男性でいい」は高望みなのか──言葉より先に希望の行数を数える
マイナビニュースが報じた婚活中の男女への調査(2026年8月公表/民間調査のため参考値)では、結婚相手に求める最低年収として女性の73.2%が「400万円以上」と回答し、600万円以上は14.8%、1,000万円以上は2.7%でした。一方、男性は約6割が「特にない」と答えています。この非対称があるために、「普通でいい」という同じ言葉が、男女で指している範囲が変わります。
相談の現場でも、「普通の人で十分です」とおっしゃる方のご希望を1行ずつ書き出すと、年収・年齢差・身長・喫煙の有無・勤務エリア・初婚かどうかで6行を超えるケースをよく見ます。ご本人に高望みの自覚はまったくありません。あなたの希望を1行ずつ書き出すと、何行になるでしょうか。
「婚活女性が身の程知らず」と言われる人の多くは、条件より行動量でつまずいている
世間では「結果が出ないのは理想が高いから」と語られがちです。けれど実績の集計を見ると、順序が逆のことがかなりあります。
IBJ(日本結婚相談所連盟)の成婚白書によると、成婚した女性の活動量はお見合い申し込み26件・お見合い11回。成婚に至らなかった女性は13件・5回でした。おおむね2倍の差です。条件の中身ではなく、試した回数で差がついている。
お見合いの申し込み成立率は全体で6.3〜6.6%程度、女性の年齢別では20代後半11.4%、30代前半9.1%とされています。10件申し込んで1件会えるかどうか、という世界です。ここで月に5件しか動いていなければ、条件を緩めても結果はほとんど変わりません。
条件を1つ外すより、申し込みをする曜日を決めて週3件に固定したほうが、1か月後の数字が先に動く。こうしたケースは珍しくありません(統計値ではなく一般的な傾向で、個人差があります)。同じ考え方を年代別に整理した記事として、40代女性の婚活|成婚データから逆算する週の行動量も参考になります。
男女比が逆転した市場──「市場価値」は需給で動く
この言葉は女性に向けて使われることが多いものの、構造としては男女対称です。IBJの発表では、加盟相談所の全会員(全年代)を男女で分けた構成比が、2020年末の男性46:女性54から2025年末には男性54:女性46へと入れ替わりました。合計100%になる、会員全体の内訳の数字です。
ただしこれは全年代をまとめた比率にすぎません。年代ごとの内訳は、集計範囲や公表時点によって数字が変わるため、この記事では踏み込みません。知りたいのは全体の構成比ではなく、自分の年代・エリアで何人いるかのほうでしょう。そこは担当カウンセラーに会員検索の実数を出してもらうのが確実です。
40代男性が20代後半の女性を希望して申し込みが通らない、という話も同じ構造です。人の価値ではなく、需要と供給が噛み合っていないだけ。男性側の詰まり方を分解した記事として婚活で男性が詰まる3段階|申込・お見合い・交際の直し方もあります。
条件は「下げる」のではなく「入れ替える」:3ステップ
条件を下げる、という言い方が苦しいのは、自分の価値を値引きするように感じるからです。実務では下方修正ではなく、軸の差し替えとして扱います。年収や身長のように数字で切れる条件は検索の入口でしかなく、会ってから効いてくるのは別の軸だからです。
ステップ1(1〜2週目):条件を3つの箱に分ける
すべての希望を、絶対(生活が成り立たない)/交換可(他で満たせる)/好み(あれば嬉しい)の3つに仕分けます。喫煙や子どもの希望は絶対に入りやすく、身長・学歴・年齢差は交換可に移せることが多い項目です。絶対の箱は3つまで、と上限を決めるのがコツ。
ステップ2(3〜4週目):条件を緩めるなら「交換可」の1つだけ
担当カウンセラーに頼めば、条件を1つ外したときに検索でヒットする会員数の変化は、その場で出してもらえます。ここで差がつくのは聞き方です。たとえば、こんな言い方に替えてみてください(言い方の一例です)。
「年収の希望は、下げたほうがいいでしょうか」
「下げる前に順番を見ましょう。どの条件を動かすと人数が増えるかは、条件ごとに差があります」
「喫煙と子どもの希望は外せません。残りで、会える人数が増える順に並べてもらえますか」
「では身長の希望を一度だけ外して、ヒット数の差を見てみましょう」
判断を丸投げすると妥協の相談になり、絶対条件を先に宣言すると優先順位の相談になります。動かす幅も、先ほどの表から見当がつきます。男性全体で年収600万円超が36.2%、600万円台だけで10.3%ですから、差し引くと700万円超はおよそ26%。希望を700万円超から600万円超へ1段動かすだけで、対象はおよそ1.4倍という計算になります(公表値からの筆算)。倍率で見ると、「下げる」ではなく「何倍にするか」の話に変わります。
ステップ3(5〜8週目):申込・申し受けの実数で検証する
外した条件が正しかったかどうかは、4週間後に3つの実数で判断します。自分からの申し込み数、お見合いの成立数、相手から届いた申し受け数。感想ではなく数で見るのがこのステップの要点で、成立数が動いていないなら原因は条件ではなく、プロフィール写真か申し込みの本数側にあります。外す条件を選び間違えて1か月が空振りに終わることもありますが、4週間で区切っておけば損失はその1か月だけで済みます。お断りの理由を分類したお見合いお断り理由は3分類|交際成立44%と直す順番5ステップも合わせてご覧ください。
条件を変えたくない方への第2案
どうしても外したくない条件があるなら、無理に動かす必要はありません。その場合は活動量と対象エリアを広げるのが第1の代替案です。勤務先が都内なら隣県まで、月の申し込みを10件から20件へ。第2の代替案は時間軸の確保で、成婚までの平均活動期間は約10.7か月(IBJ成婚白書 2024年度版)ですから、条件を維持するなら1年以上の見通しで計画を立てます。追加の出費を増やさずにできるのは、この2つです。
セルフチェック:いまの現在地を3項目で測る
IBJ成婚白書(加盟相談所の会員実績集計)では、成婚した女性が1か月に受けた申し込み数の中央値は20代48.5件、30代35.7件、40代24.8件、50代13.8件でした。これを物差しに、以下を確認してみてください。
- 先月の申し受け数が、同年代の中央値の半分未満だった
- 先月の自分からの申し込みが10件未満だった
- 絶対に外せない条件が4つ以上ある
1つだけ当てはまるなら、その項目を1か月直せば十分です。2つ以上当てはまる場合は、条件より先に活動量と写真の見直しから着手したほうが早い。3つすべてなら、一人で組み立て直すのは正直きついので、条件の棚卸しを一緒にやる(無料相談)のような場で一度整理することをおすすめします。
よくある質問
Q. 「婚活女性 身の程知らず」と検索してしまいます。私は高望みなのでしょうか。
A. その検索自体は、自分を客観視しようとしている証拠です。判定は言葉ではなく数で出せます。絶対条件が3つ以内で、先月の申し込みが20件前後あるなら、条件以外に原因がある可能性のほうが高いと考えています。
Q. 年収600万円以上を希望するのは高望みですか。
A. 高望みという言葉では判定できません。事実として、給与所得者の男性のうち年収600万円超は36.2%(国税庁・令和6年分)。約6割を最初に除外する選択だと理解したうえで選ぶなら、それは戦略です。ただし他の条件を重ねるほど現実的でなくなります。年収を軸にした誤解は年収600万の女性は結婚できない?不利なのは年収ではない理由でも扱っています。
Q. 30代半ばで「もう遅い」と言われました。本当ですか。
A. IBJ成婚白書 2024年度版の女性の年齢別成婚率は、〜29歳36.4%、30〜34歳35.8%、35〜39歳30.3%、40〜44歳22.5%、45歳以上15.7%です。30代後半でも3割前後。下がるのは事実ですが、ゼロではありません。
Q. 男性にも「身の程知らず」はありますか。
A. あります。IBJの会員構成比は2025年末で男性54:女性46と入れ替わっており、年下希望が通りにくいという男性側の相談もあります。性別ではなく需給の問題です。
Q. 条件を緩めたら後悔しませんか。
A. 「絶対」の箱に入れた3つを守る限り、後悔は起きにくいはずです。生活が成り立たない条件だけを守り、好みの部分だけを動かしているからです。緩めるのは交換可の箱だけ、と決めておくと判断がぶれません(感じ方には個人差があります)。
今日からの一歩
まずは紙を1枚用意して、希望条件を1行ずつ書き出してください。それだけで、何を掛け算しているかが見えます。順番は、仕分け→1つ外す→4週間後に数で検証。条件を削る作業ではなく、並べ替える作業です。
- 「身の程知らず」は人柄の評価ではなく、条件を重ねた結果の残存率の問題
- 男性全体で年収600万円超は36.2%、30代男性で800万円以上は5.3%。条件は何%を除外するかで考える
- 成婚女性の申し込みは26件・お見合い11回、非成婚は13件・5回。条件より先に行動量を疑う
- IBJの会員構成比は2025年末に男性54:女性46へ。需給の問題なので、男女どちらの側にも起こる
- 条件は下げずに入れ替える。絶対3つ・交換可・好みに仕分け、4週間後に申込/成立/申し受けの実数で検証する
1枚書き出したあと、どの行が絶対でどの行が交換可なのか迷ったら、そこだけ人と一緒に決めたほうが早く進みます。条件の棚卸しを一緒にやる(無料相談)では、この仕分けと検索ヒット数の確認までを一度に行っています。
本文の数値は各調査の公表時点のものです。調査主体・対象・集計方法が異なるため単純比較はできず、今後の改定で変動します。また、ここで示した手順は結果を保証するものではなく、成果には個人差があります。体調や気持ちの落ち込みが続く場合は、活動量を増やす前に休む判断を優先し、必要に応じて医療機関への相談もご検討ください。
出典
- 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」(全国の給与所得者を対象とした統計/2025年9月公表):平均給与478万円、男性587万円、男性の年収階級別割合、30代男性の年収800万円以上の割合
- IBJ(日本結婚相談所連盟)「成婚白書 2024年度版」(加盟相談所の会員実績集計=事業者の実務データ):女性の年齢別成婚率、申込・お見合い件数、申し受け数の中央値、平均活動期間、お見合い成立率
- IBJ 会員の男女構成比に関する発表(PR TIMES掲載):2020年末・2025年末の全会員(全年代)の男女比
- マイナビニュース「結婚相手に求める最低年収」(婚活中の男女を対象とした民間調査/2026年8月公表):女性73.2%が400万円以上。民間調査のため参考値として扱っています
