条件のすり合わせ

全国転勤で結婚できないは本当か|単身赴任51.5%と先に伝える5項目

全国転勤で結婚できないは本当か|単身赴任51.5%と先に伝える5項目

この記事でわかること

  • 転勤族だけの未婚率を示す公的統計はなく、転勤の多い業界は結婚しやすい側に並びます
  • 既婚転勤者の51.5%は単身赴任。帯同・単身赴任・勤務地固定の3案を相手と決めます
  • 周期3〜5年・内示1〜2か月前・手当の実額など、先に渡す5項目を具体化します
  • 帯同した妻の離職率73%など不利な数字も自分から出すほうが信用されます

全国転勤があるから結婚できない、ということはありません。断られる原因は転勤そのものではなく、転勤の中身―周期・内示の時期・手当の額・帯同しない選択肢―を相手に言葉で渡せていないことにあります。

この記事は、全国転勤のある会社に勤めていて結婚相談所での婚活が進まない男女、そして相手が転勤族で迷っている方に向けて書いています。扱うのはIBJ(日本結婚相談所連盟)加盟の結婚相談所での婚活、つまりお見合い→仮交際→真剣交際→成婚という段階を前提にした話です。以降は、①「転勤族は結婚できない」説の検証、②断られる段階と理由、③相手に先に渡す5項目、④帯同以外の3つの選択肢、⑤全国転勤のある女性側の論点、⑥転勤は会社と交渉できるのかという最新事情、⑦内示から逆算する半年の進め方、の順に進みます。なお実感ベースの記述には(個人差があります)と添えています。

この記事は結婚相談所の現役カウンセラー「さかとく」が書いています

IBJ加盟相談所で今も数十名の会員を直接担当する現場経験をもとに、一般論ではなく「実際どうすればいいか」をお伝えします。

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「転勤族は結婚できない」は本当ですか?

結論から言えば、根拠は確認できません。転勤のある人だけを抜き出した未婚率の公的統計は存在しないのです。総務省統計局も、単身赴任者の数は国勢調査で直接把握しておらず「世帯主が有配偶の男性である単独世帯」で代替的に見るしかないと説明しています。つまり「転勤族の独身率は高い」という書き方は、数字の裏づけなしに流通している表現です。

むしろ逆の材料があります。荒川和久氏による国勢調査の産業別分析では、生涯未婚率が男性より女性のほうが高くなる―つまり男性が結婚しやすい側に回る―産業に、金融・保険、情報通信、電気・ガス・水道、公務が入ります。全国転勤の制度を持つ業界がそろって並んでいるわけです。

参考までに、2025年国勢調査ベースの50歳時未婚率は男性29.9%・女性19.6%で過去最高。東京は男性33.1%・女性24.9%です。未婚化は全体の傾向であって、転勤の有無で説明できる現象ではありません。

ここで一つ、よく言われることに異を唱えておきます。「転勤は早めに伝えましょう」―これは婚活の記事でほぼ必ず目にする助言です。ただ現場で見ていると、早く伝えたのに断られた人がかなりいます。理由は単純で、伝えたのが「転勤があります」という事実だけだったから。相手が知りたいのは事実の有無ではなく、自分の生活がどう変わるかです。順番が逆になっているのです(統計値ではなく、担当した範囲での傾向です)。

転勤族がモテないと言われるのは、どの段階で断られるからですか?

「プロフィールを見た段階で避けられているのでは」。そう心配される方が多いのですが、実際に止まりやすいのはもう少し先です。

私が担当した範囲では、転勤のある男性会員はお見合い成立までは普通に進み、仮交際の2回目から3回目で止まることが目立ちます。会話が将来の住まいに触れた瞬間に、相手が黙ってしまうのです(統計値ではありません。個人差があります)。

上位の婚活メディアが挙げる「断られる理由」は、だいたい次の4つに集約されます。今の職場を離れたくない、積み上げた人間関係を失いたくない、遠距離をしたくない、将来が見えなくて不安。前の3つは相手の事情ですが、4つ目だけは伝え方の問題です。そして4つ目が、仮交際で止まる最大の原因になっています。

遠距離を軽く見ないほうがいい理由もあります。DeNAトラベルの調査(参考値・単一企業調査)では、遠距離恋愛から結婚に至ったのは16%、42.8%は1年未満で終わっています。一方で、国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査では、結婚相手に求める条件として「人柄」「家事・育児の能力や姿勢」に次いで「仕事への理解と協力」が重視されています。転勤族にとってこれは不利な材料ではありません。理解と協力を求める側ではなく、先に差し出す側に回れば訴求点になるからです。

転勤の前提は、いつ・何を伝えればいいですか?

タイミングはお見合いの前(プロフィールの職業欄・備考)に事実を、仮交際の1〜2回目に中身を、が目安です。重要なのは「何を」の部分です。精神論の「早めに正直に」を、次の5項目に置き換えてください。

伝える項目 一般的な目安(調査値)
①転勤の周期 周期3年が27.9%、5年が18.8%。赴任期間の平均3〜5年。転勤回数は1〜2回が40.6%、3〜4回が31.4%(JILPT調査ベース)
②内示から赴任までの期間 「2週間超〜1か月前」34.9%、「1か月超〜2か月前」32.5%(0123引越文化研究所)=段取りに使える時間は実質1〜2か月
③お金(手当・社宅) 赴任手当の平均は単身約9.3万円・家族約13.1万円、引越費用は単身約11.4万円・家族約17.3万円(転勤実態アンケート2023)。単身赴任手当の民間平均は月4万7,600円
④エリア社員・地域限定への転換可否 制度の有無と、転換した場合の処遇差
⑤リモート勤務の可否 赴任しない選択が制度上あるか

③については、自分の会社の実額を調べてから話してください。単身赴任手当の支給率は従業員1,000人以上の企業で66.6%、30〜99人では5.3%(マネーフォワード クラウド掲載の集計)と差が大きく、「うちも出るはず」は通用しません。

伝え方の例を並べます。

  • ❌「転勤が多い仕事なので、ついてきてもらう形になると思います。ご理解いただけますか」
  • ⭕「3〜5年で異動があり、内示は1〜2か月前です。社宅と赴任手当が出るので引越しの実費はほぼかかりません。ついてきていただく形、単身赴任、私が勤務地を固定する方向―この3つを一緒に決めたいと思っています」

違いは情報量ではなく、決定権を相手に渡しているかどうかです。悪い例は結論を先に決めてから理解を求めており、相手には断るしか選択肢が残りません。会話の組み立て方そのものに不安がある方は、お見合いで何を話す?60分の時間配分と沈黙の戻し方も合わせて読んでみてください。

相手に先に渡す「転勤の条件5項目」と伝える順番
相手に先に渡す「転勤の条件5項目」と伝える順番

結婚したら、必ず帯同してもらうことになりますか?

なりません。ここが上位の記事でいちばん抜けている点です。

JILPTの調査(tenrusu.jp掲載の集計)では、国内転勤をした既婚者のうち単身赴任を選んだ人は51.5%。つまり半分は家族を連れていません。単身赴任を選んだ理由は、持ち家61.6%、子どもの就学・受験52.8%、配偶者が働いていた38.4%、家族が地元を離れたくない29.1%です。

選択肢は3つあります。

  1. 帯同―相手が勤務地に依存しない仕事(リモート可の職種、資格職、全国に拠点がある業種)であれば現実的
  2. 単身赴任―持ち家や相手の就業継続を優先する場合の標準解。既婚転勤者の半数が選んでいる
  3. 自分が勤務地を固定する―エリア社員への転換、または転勤のない会社への転職

そして、相手のキャリアの話は自分から数字で出したほうがいい。隠すと「考えていない人」に見えます。TENKIN LABとデンソーによる調査(転勤妻102名・小規模のため参考値)では、帯同した正社員の妻の離職率は73%。転居先で正社員として働ける人は1割未満という調査結果もあります(andonuts.jp掲載)。ニッセイ基礎研究所の分析では、配偶者の転勤による退職は年間約2万人規模で、その約76%が女性。リクルートワークス研究所は、2015〜19年に離職した女性の2.1%(推計約30万人)が「配偶者の転勤」を理由とし、うち39.1%が今も働いていないと報告しています。

重い数字です。ただ、これを先に出して「だから単身赴任も含めて考えたい」と言える人は、相手の親からも信用されます。共働き世帯は2024年に1,300万世帯・夫婦世帯の71.9%(労働力調査/JILPT)。妻が辞める前提の話は、もう通りません。

全国転勤のある女性が「結婚できない」と感じるのはなぜですか?

男性とは詰まる場所が違います。

全国転勤のある女性会員からは「話が進むと、私が辞める前提になってしまう」というご相談をよく受けます。相手の男性に悪気はなく、世の中の標準形をそのまま当てはめているだけ。ただ、総合職として積み上げたものを前提ごと手放す話になるため、仮交際の途中で気持ちが冷めてしまうのです(統計値ではありません。個人差があります)。

対処は、相手の勤務地の固定性を先に確認することです。確認したい質問は3つに絞れます。

  • 「転勤はありますか。あるとして、周期と範囲はどのくらいですか」
  • 「勤務地を固定できる制度(エリア社員・地域限定)はありますか」
  • 「将来、どの地域に住む前提で考えていますか。持ち家の予定は」

この3つが詰まっていない相手と進むと、どちらが動くかの議論が最後まで残ります。逆に、相手が勤務地固定・リモート可であれば、女性側に全国転勤があることはむしろ組み合わせとして収まりやすい。条件は点数ではなく、噛み合うかどうかの問題です。条件の扱い方そのものについては婚活ランク表は鵜呑みにしない|年収1000万は男性の9.7%でも触れています。

その「うまくいかない」には、<br>必ず理由があります。

転勤は、会社と交渉できる条件になっていますか?

半分は、なっています。ここは2026年時点で大きく動いている部分です。

東京商工リサーチの2025年調査(2025年7月30日〜8月6日、有効回答6,691社)では、直近3年で「転勤を理由にした退職」を経験した企業が30.1%。大企業では38.0%、中小企業で28.3%です。マイナビの調査(2025年2月)では、転職希望者の6割以上が「転勤がある会社で働きたくない」と答えています。企業側も手を打ち始めており、望まない転勤の廃止や「本拠地」制の導入、リモート前提への切り替えで単身赴任者を大幅に減らした例が報じられています。

ただし、同じ東京商工リサーチの調査では、転勤可否の選択制・転勤手当・エリア社員制度といった柔軟な制度を「導入予定なし」とした企業が75.9%。報道で目立つのは先進事例であって、多数派ではありません。

だからこそ、調べる価値があります。就業規則と人事制度を自分で確認し、「自社は現時点で選択制がない」という事実まで含めて相手に開示する。これは交渉材料ではなく信用の材料です。制度があるのに知らないまま「転勤は避けられません」と言ってしまう―これが一番もったいないパターンです。

遠距離と内示を、どう逆算すればいいですか?

内示が1〜2か月前に来るなら、結婚の段取りはそれより前に終わらせておく必要があります。相談所で半年を想定する場合の目安を置きます。

  • 1〜4週目:お見合いを進めつつ、プロフィールと初回で転勤の事実を開示。5項目(周期・内示・手当・エリア転換・リモート)を自分の会社の実数で用意する
  • 5〜12週目:仮交際。帯同/単身赴任/勤務地固定の3案を具体的に詰める。相手の仕事の継続可否をここで必ず話す
  • 13〜20週目:真剣交際。住む地域と持ち家の方針、両家への説明。相手の親には制度と手当の実額を数字で示す
  • 21〜26週目:成婚後の入籍時期を、次の異動時期(多くは3年・5年周期)に合わせて決める

期限を決めるのは不誠実ではありません。遠距離の42.8%が1年未満で終わっているという数字を踏まえれば、期限がないことのほうがリスクです。半年で組み立てる考え方は結婚相談所は30代が最も成婚しやすい|成立率7〜9%から逆算する半年計画でも詳しく書いています。

自分がどのタイプの進め方に向いているかを整理したい場合は、10問・約3分の婚活タイプ診断を使ってみてください。

よくある質問

Q. 転勤があることを隠して進めるのは、やはりまずいですか。

はい。真剣交際や両家の段階で必ず出る話で、そこで出ると「他にも隠している」と受け取られます。隠すほどの不利な条件でもありません―単身赴任を選ぶ既婚転勤者は51.5%です。

Q. 転勤族はお金が貯まる、というのは本当ですか。

条件次第です。社宅や家賃補助に加え、赴任手当の平均は単身約9.3万円・家族約13.1万円、単身赴任手当の民間平均は月4万7,600円(公務員は人事院規則で月3万円)。ただし単身赴任手当の支給率は従業員1,000人以上で66.6%、30〜99人で5.3%と差が大きく、自社の規程を見ないと答えは出ません。

Q. 遠距離は何か月くらいが限界ですか。

一律の目安はありませんが、DeNAトラベルの調査(参考値)では42.8%が1年未満で終了し、結婚に至ったのは16%。相談所で進めるなら、次の異動時期から逆算して「いつまでに何を決めるか」を先に共有するほうが現実的です。

Q. 転勤のない会社に転職してから婚活すべきですか。

順番を入れ替える必要はないと考えています。転職希望者の6割以上が転勤を避けたいと答える市場(マイナビ2025年調査)ですから転職自体は選択肢ですが、エリア社員への転換で足りる場合もあります。まず自社の制度を確認し、それでも難しい場合に転職を検討する流れをおすすめしています。

Q. 相手の親に、転勤をどう説明すればいいですか。

制度と金額です。周期(3年27.9%/5年18.8%)、内示のリードタイム(2週間〜2か月)、社宅・手当の実額、そして単身赴任という選択肢が制度上あること。この4点を紙1枚にまとめて示すと、話が感情論になりにくくなります。

Q. 自分に全国転勤があり、相手にもある場合はどうなりますか。

どちらかが勤務地を固定するか、単身赴任を前提に住む拠点を一つ決めるかの二択になります。早い段階で両方の異動周期とエリア転換の可否を突き合わせてください。結論が出ないまま進めるのが一番こじれます―その場合は「3か月後にもう一度この話をする」と期限だけ先に置くのが現実的な振る舞いです。

次の一歩

やることは2つだけです。自社の就業規則と給与規程を開いて5項目の実数を書き出すこと。そして、帯同・単身赴任・勤務地固定の3案を自分の中で順位づけしておくこと。この2つが手元にあれば、仮交際で将来の話になったときに黙らずに済みます。

転勤は、消せない条件ではなく、説明できる条件です。結果には個人差がありますし、相手との相性もあります。それでも、説明できる人から順に話は前に進みます。

出典

  • 東京商工リサーチ「2025年 企業の『転勤』に関するアンケート調査」(2025年7月30日〜8月6日実施、有効回答6,691社/東京商工リサーチ公表)―転勤理由の退職30.1%、大企業38.0%、中小28.3%、柔軟制度「導入予定なし」75.9%
  • マイナビ「転勤と転職に関する調査レポート」(2025年2月3〜6日調査/株式会社マイナビ公表)―転職希望者の6割以上が転勤のある会社を避けたい、転勤がある企業64.2%
  • 労働政策研究・研修機構(JILPT)「企業の転勤の実態に関する調査」(調査結果をまとめた tenrusu.jp・tenkininfo.com 掲載の集計を参照)―転勤周期3年27.9%/5年18.8%、転勤回数1〜2回40.6%、既婚転勤者の単身赴任51.5%、単身赴任の理由(持ち家61.6%ほか)
  • 0123引越文化研究所(アート引越センター)の調査(satochin.jp 掲載)―内示から赴任までの期間の分布
  • 「転勤実態アンケート2023」(PR TIMESでのリリース公表)―赴任手当・引越費用の平均額
  • 単身赴任手当の相場(マネーフォワード クラウド/jinjer 掲載の集計)―民間平均月4万7,600円、企業規模別の支給率。公務員分は人事院規則に基づく
  • TENKIN LAB×デンソー「転勤時の仕事についてのアンケート」(2019年・転勤妻102名/wamamamalife.com 掲載)―帯同した正社員の妻の離職率73%。回答者数が少ない事業者調査のため参考値
  • 転勤帯同経験者の実態調査(andonuts.jp 掲載)―転居先で正社員として働く人は1割未満
  • ニッセイ基礎研究所「転勤が人生設計に与える影響」―配偶者の転勤による退職は年間約2万人規模、約76%が女性
  • リクルートワークス研究所「転勤(定点観測)」―離職女性の2.1%(推計約30万人)が配偶者の転勤理由、うち39.1%が非就業
  • 労働力調査(総務省)をもとにしたJILPTの整理―共働き1,300万世帯・夫婦世帯の71.9%(2024年)
  • 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」―結婚相手の条件で「仕事への理解と協力」が重視される点。「第17回出生動向基本調査」(2025年6月実施・2026年9月公表)―結婚意思の推移
  • 総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計結果」および統計局FAQ(単身赴任者数は直接把握されていない旨)
  • 荒川和久氏による国勢調査の集計(Yahoo!ニュース エキスパート)―50歳時未婚率 男29.9%・女19.6%、産業別の男女逆転
  • DeNAトラベル調査(@Press での発表/縁結び大学ほか掲載)―遠距離恋愛からの結婚16%、1年未満での終了42.8%。単一企業の調査のため参考値

上記の数値は各調査の集計条件(対象者・年次・企業規模)が異なるため、幅として押さえてください。制度・手当の額は勤務先の規程によって変わり、本記事の内容は成婚や交際の結果を保証するものではありません(効果には個人差があります)。

この記事を書いた人

さかとく

婚活サロン 彩星(さいせい)主宰/IBJ加盟結婚相談所 現役カウンセラー

IBJ加盟の結婚相談所で現役カウンセラーとして活動中。これまでに累計200名以上を担当し、今も第一線で数十名を並行サポートしているため、今の市場と現場を踏まえた助言ができます。ウェブマーケティングのライターとして培った「選ばれる見せ方」と、年間数千人の応募が集まる企業で人事部長として採用責任者を務めた「人を見極める視点」を、婚活に翻訳してお伝えしています。

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