結婚相談所の基礎知識

結婚相談所のトラブルは契約で起きる|違約金の上限と対処法

結婚相談所のトラブルは契約で起きる|違約金の上限と対処法

この記事でわかること

  • 相談窓口に持ち込まれるのは相手とのもめ事より、相談所との契約・返金トラブルが中心という実態
  • 中途解約の請求は二階建て。提供済み役務の対価は全額、上乗せ分だけが「2万円か契約残額の20%の低いほう」で頭打ち
  • 成婚料が発生する時点は相談所ごとに違う。契約前に条項を指してもらう確認方法
  • 契約書・やり取り・支払い記録の3点保管と、188と警察・弁護士の使い分け

結婚相談所のトラブルで最も多いのは、お見合い相手との間ではありません。相談所との契約をめぐるお金の問題です。そして中途解約で払う違約金には、法律で上限が決まっています。「返金は一切しません」と書かれた契約書があっても、話はそこで終わりではありません。

先に立場を明かしておきます。筆者は結婚相談所(彩星)でカウンセラーを務めています。自社に有利な方向へ話が寄らないよう、以下は消費者庁など公的機関が公開している基準を軸に書きます。

この記事は結婚相談所の現役カウンセラー「さかとく」が書いています

IBJ加盟相談所で今も数十名の会員を直接担当する現場経験をもとに、一般論ではなく「実際どうすればいいか」をお伝えします。

結論:揉めるのは「相手」ではなく「契約」

婚活を始める前の方が心配するのは、たいてい「変な人に当たったらどうしよう」という点です。ところが実際に相談窓口へ持ち込まれる話は、退会したいのに手続きが進まない、聞いていない費用を請求された、といった事業者との間の話が中心になります。

この構造を、まず頭に入れてください。相手選びの不安と、契約の不安。守り方がまったく違います。

「じゃあ、みんな揉めているのか」と聞かれると、そうではありません。結婚相手紹介サービスをめぐる消費生活相談は、婚活市場全体の規模から見れば例外的な事象です。ただ、確率の話は自分が当事者になった瞬間に意味を失います。全体で何%だろうと、自分に起きれば100%。だから確率で安心するのではなく、契約の中身で身を守ってください。

怖がって動けなくなるのも、無防備に契約するのも、どちらも損。知っておけば済む話がほとんどです。

結婚相談所のトラブル事例5つ|相談が多い順

まず全体像を。詳しい話はこのあと1つずつ書きます。

トラブルの型 起きやすい時期 自衛策 相談先
費用・返金 契約直後/退会時 総額シミュレーションを書面で 消費生活センター(188)
サポートの落差 入会1〜3か月 面談頻度を契約書で確認 相談所の責任者/188
紹介のミスマッチ 入会1〜3か月 入会前に検索ヒット数を実演してもらう 担当カウンセラー
退会できない 退会申出時 日付の残る形で意思表示 消費生活センター(188)
会員同士の問題 お見合い〜交際中 やり取りを保存、担当へ即共有 担当カウンセラー/警察・弁護士

1. お金:後出しの追加費用と、解約時の返金

結婚相談所の費用は、登録料(初期費用)・月会費・お見合い料・成婚料という組み立てが一般的です。金額の水準は相談所ごとに大きく開きがあるため、ここで相場帯の数字を挙げることはしません。見るべきは平均値ではなく、「お見合い1件ごと」「書類作成」「写真撮影」といった費用が説明なく積み上がっていないかです。契約前に総額のシミュレーションを出してもらえたかどうかが分かれ目になります。費用の内訳そのものは結婚相談所の料金相場|内訳と成婚データで出す総額見積もりで詳しく整理しています。

2. サポート:入会前の説明と、入会後の落差

「手厚く伴走します」——入会前の面談でこの言葉を聞かなかった人のほうが少ないでしょう。では、手厚いとは月に何回のことか。ここを詰めないまま入会し、自分から連絡しないと何も動かない、というご相談は珍しくありません。面談の頻度が契約書に書かれていないことが多く、約束の不履行を証明しづらいのが厄介な点です。「手厚い」の中身を回数で聞き返してください。

3. 紹介:希望と違う人ばかり届く

これは、相談所が悪いとは限りません。紹介人数が説明と違う、条件から外れた方ばかり——不満としてはもっともですが、そもそも希望条件に該当する会員が母集団にほとんどいない、というケースが実際にあります。相談所の怠慢なのか、条件の設定が現実と噛み合っていないのか。切り分けは入会前にできます。「私の希望条件だと、御社の検索システムで何人ヒットしますか」と目の前で数を出してもらう。ゼロに近ければ、それは入会後に揉める前に分かってよかった話です。

4. 退会:辞めたいのに、話が前に進まない

退会の意思を伝えたのに連絡が返ってこない、「もう少し続けましょう」と引き止められて手続きが宙に浮く。解約したいのに動かない状態が続けば、その間の月会費は引き落とされ続けます。退会は口頭ではなく、日付の残る形(メールや書面)で意思表示することが自分を守ります。泣き寝入りせずに済むかどうかは、この一通の有無で決まることがあります。

5. 会員同士:写真、ドタキャン、交際終了後の連絡

実物と印象が違うほど加工された写真、直前のお見合いキャンセル、交際終了後もしつこく連絡が来る。加盟する連盟によっては、成立したお見合いをキャンセルした側に違約金を課すなどのルールが設けられている場合があります。規定の有無や金額は連盟・時期によって変わるため、入会前に会員規約の該当条項を見せてもらうのが確実です。ただ、ルールがあることと、担当者が動いてくれることは別の話です。

意外と知られていない「相談所どうし」の構造

連盟に加盟する相談所では、A相談所の会員とB相談所の会員がお見合いするのが普通です。つまり相手方に何か問題があったとき、あなたが直接交渉するのではなく、あなたの担当者が相手の担当者へ申し入れる形になります。

実務としては、まず担当者間の直接連絡から始まります。連盟のシステム上に交際状況の記録が残っているので、いつお見合いが成立し、いつ交際終了の意思表示があったかは双方から確認できます。ここで事実関係が食い違わなければ話は早く、相手方の担当者から本人へ注意が入って収束することがほとんどです。当事者間で解決しない場合や、規約違反の疑いが強い場合に、はじめて連盟の窓口へ報告が上がります。逆に言えば、担当者が動かなければ、連盟に情報が届くことすらありません

ここは会員からは完全に見えない場所です。無料相談の場で「相手方の相談所へ申し入れが必要になったとき、どなたが、どういう手順で、何日以内に動きますか」と一度聞いておくと、その相談所の姿勢がよく分かります。

「連盟に加盟していれば安心」「マル適マークがあるから大丈夫」——よく言われますが、現場感覚としてはやや違います。これらが担保するのは、事業者としての最低限の枠組みであって、目の前の担当者があなたのために動くかどうかは別問題です。看板ではなく、担当者個人の返答内容を見てください。

中途解約の請求は「二階建て」|違約金には法定の上限がある

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。そして、いちばん誤解されている部分でもあります。

結婚相手紹介サービスは、特定商取引法の「特定継続的役務提供」に指定されています。対象は契約金額5万円超・契約期間2か月超のもの。結婚相談所の契約は総額数十万円になることが多いため、実質的には大半の契約がこの枠に入ります。

制度の話が続くので、先に現場の実感を。「契約書に返金しないと書いてあるので、全額戻らないと言われました」と肩を落として来られる方が、年に何人かいらっしゃいます。多くの場合、そもそも法律に上限の定めがあること自体をご存じない。逆に、上限を知って「じゃあ2万円で済むんですね」と受け取ってしまう方も同じくらいいます。どちらも正確ではありません

大事なのは、中途解約時の請求が二階建てだという点です。

  • ①すでに提供を受けた役務の対価 ── これは全額請求されます。上限の対象外です。
  • ②損害賠償等として上乗せできる額 ── ここに法定の上限がかかります。

消費者庁「特定商取引法ガイド」および東京くらしWEBが示すルールを整理すると、次のとおりです。

解約するタイミング ①提供済み役務の対価 ②上乗せできる額の上限
契約書面を受け取った日を含めて8日以内 クーリング・オフ。原則として無条件で解約でき、支払った代金は返金の対象
サービス開始前に中途解約 なし(未提供のため) 3万円
サービス開始後に中途解約 全額(上限の対象外) 「2万円」か「契約残額の20%」のいずれか低いほう
中途解約時の請求が「提供済み対価+上乗せ上限」の二階建てであることと、タイミング別の上限額を整理した図
中途解約時の請求が「提供済み対価+上乗せ上限」の二階建てであることと、タイミング別の上限額を整理した図

数字を当てはめてみます。総額30万円・12か月の契約で、6か月が経過した時点で解約したとしましょう。提供済み6か月分の対価がおよそ15万円、残額もおよそ15万円。②の上限は「2万円」と「15万円の20%=3万円」の低いほうなので2万円。支払いの目安は15万円+2万円で17万円、既払い分との差額が精算される、という組み立てです。「2万円だけ払えばいい」ではありません。実際の対価の算定方法は契約内容によって異なるので、これはあくまで構造を理解するための概算です。

そのうえで。契約書に「入会金は理由を問わず返金しません」「中途解約の違約金は残金の全額」と書かれていたとしても、法定の上限を超える部分については、一般論として無効を主張する余地があるとされています。書面にサインしたから何も言えない、というわけではありません。

ただし、個々の契約でどこまで認められるかは契約内容と経緯によって変わり、その判断は法律の専門家や公的機関の領分です。ここで書いたのはあくまで制度の一般的な枠組みで、あなたの契約についての判断ではありません。金額の算定根拠を自分で紙に書き出したうえで、後述する窓口へ持ち込んでください。それだけで相談の質は上がります。

その「うまくいかない」には、<br>必ず理由があります。

「成婚」の定義がズレると、数十万円が動く

成婚料は0円の相談所もあれば、数十万円規模の相談所もあります。争いになるのは金額そのものより、「いつ成婚と見なされるか」の認識違いです。

本人はまだ真剣交際の途中のつもり。ところが相談所の記録上は成婚退会の扱いになっていて、成婚料を請求される。弁護士事務所のコラムでも指摘されている、典型的なすれ違いです。

防ぎ方はひとつだけ。契約前に「御社の契約書では、成婚料が発生するのはどの時点ですか。その条項を指してください」と聞くことです。プロポーズの受諾なのか、真剣交際への移行なのか、退会届の提出なのか。相談所ごとに定義が違います。ここを口頭説明だけで済ませようとする相談所は、正直あまりおすすめできません。

実は入会前の面談で成婚料の発生条件まで確認している方は、体感としてかなり少数です。金額は覚えているのに、条件は覚えていない。数十万円が動く条項なのに、です。

成婚料が高い=悪、とは限らない

「成婚料ゼロ」は一見すると良心的に映ります。ただ、事業者側の経済構造から見ると話は単純ではありません。成婚料を取らない相談所は、収益を月会費で回収する形になりやすい。すると会員が長く在籍するほど売上が積み上がる設計になります。逆に成婚料型は、退会してもらわないと大きな収益が立ちません。

どちらが誠実か、という話ではなく、どちらにも構造上の傾きがあるという話です。総額は在籍期間で逆転します。半年で決まるなら成婚料型のほうが高くつき、2年かかるなら月会費型のほうが高くつく、ということが起こり得ます。

自社の話もしておくと、彩星は成婚料をいただく形なので、短期で決まった方には割高に感じられる料金体系です。ここは弱点として自覚しています。だからこそ入会前に、想定在籍期間を置いた総額の試算を出すようにしています。どの相談所を検討する場合でも、「12か月続いたら総額いくら」「24か月ならいくら」の2パターンを出してもらってください。

揉める前に揃える3点と、相談先の使い分け

トラブルになってから慌てて集めようとしても、記録は消えています。入会した日から、次の3つを1つのフォルダにまとめておいてください。

  • 契約書一式(契約書・重要事項の説明書面・料金表・会則。写真で撮ってクラウドにも保存)
  • 担当者とのやり取りの記録(メールやメッセージは消さない。電話で説明を受けたら、その日のうちに要点をメールで送って文字に残す)
  • 支払いの記録(振込明細、クレジットカードの利用履歴、領収書)

電話で受けた説明を、その場でメールに書き起こして本人に送り返す。この一手間だけで、後から「言った・言わない」の争いはほぼ起きなくなります。手間は5分。効果は数十万円ぶん。

実際、他社の契約書を持ち込まれたご相談で、いちばんつまずきやすいのが中途解約の精算条項です。「残期間の会費は返金しない」という一文だけが書かれていて、提供済み分の対価をどう計算するのかが書かれていない。その場で確認するのは2点だけです。総額と契約期間、そして支払い済みの金額。そこから提供済み分と残額を仮に置いて、法定の枠組みならいくらの範囲に収まるはずかを一緒に紙に書き出す。あとはその紙を持って消費生活センターへ行ってもらう、という流れになります。※個人が特定されないよう、複数の事例をもとに内容を再構成しています。

そして、相談先はトラブルの性質で分けてください。相談所との契約の話(返金されない・違約金・退会できない・説明不足)は、消費者ホットライン188から最寄りの消費生活センターへ。相手個人による金銭被害や結婚詐欺・投資勧誘が疑われる場合は、警察と弁護士です。訴えるかどうかを検討する段階でも、窓口はこの区分に従います。適用される法律が違うため、間違えると時間だけが過ぎます。

後者について補足を。警察庁は、SNSをきっかけとする投資詐欺・ロマンス詐欺の被害が2024年に大きく増加したと公表しています。件数や被害額は集計区分(投資型・ロマンス型の別、合算か内訳か)によって数字が変わるため、ここでは具体的な数値の引用は控えます。最新の数値は警察庁の公表資料でご確認ください。接触経路はマッチングアプリが多いとされ、身元確認のある相談所とはリスクの性質が異なりますが、無関係ではありません。交際中に投資や送金の話が出たら、その時点で担当者に共有してください。

よくある質問

結婚相談所でよくあるトラブルは何ですか?

中途解約時の返金・違約金、入会前の説明とサポート内容の食い違い、紹介人数や条件のミスマッチ、退会手続きが進まないこと、そして会員同士の写真や当日キャンセルの問題です。相談窓口で目立つのは、相手ではなく相談所との間の話になります。

退会するときはどんなトラブルが起きますか?

「もう少し続けましょう」と引き止められて手続きが進まない、月会費が引き落とされ続ける、返金の可否で揉める、の3つが代表的です。退会の意思は日付の残る形で伝え、引き落としの停止日と最終請求額を書面で確認してください。8日以内ならクーリング・オフ、それ以降は中途解約として法定の上限が適用されます。

中途解約すると、いくら請求されますか?

「すでに提供を受けた役務の対価(全額)+上乗せ分の上限額」の二階建てです。上乗せ分の上限は、サービス開始前なら3万円、開始後なら「2万円」か「契約残額の20%」の低いほう。提供済み分は上限の対象外なので、「開始後は2万円しか払わなくてよい」という理解は誤りです。具体的な金額は契約内容によります。

連盟加盟の相談所ならトラブルは起きませんか?

連盟のルールがある分、会員同士の問題には一定の基準が働きます。ただし料金体系や成婚の定義、サポート内容は加盟している各相談所が個別に決めています。連盟への加盟は、契約内容の中身までは保証しません。口コミの読み方については結婚相談所の口コミは当てにならない?信じていい部分と割り引く部分もあわせてどうぞ。

いちばん効くのは、契約前の30分

ここまで挙げたトラブルの多くは、入会前の面談で3つ質問すれば大半が防げます。中途解約したときの精算方法。成婚料が発生する条項の場所。相手方の相談所へ申し入れが必要になったときの手順。

この3つをはぐらかさずに答えられるかどうか。判断材料としては、料金の安さよりずっと信頼できます。契約時の確認点は結婚相談所でトラブルも!契約時に注意すべきポイントとは?にもまとめました。

彩星の無料相談では、他社の見積書や契約書を持ち込んでの確認も受け付けています。その場では、中途解約の精算条項と成婚料の発生条項、この2点だけは必ず声に出して読み上げます。どこに何が書いてあるかを、ご自身の目で確認していただくためです。入会を前提にした場ではありません。今の契約で気になる条項があるなら、判断する前に一度、目を通す機会をつくってください。なお、婚活の進み方や結果には個人差があります。

執筆:彩星 カウンセラー(結婚相談所での相談業務に従事)。本記事は消費者庁「特定商取引法ガイド」および東京くらしWEBの公開情報をもとに構成しています。個別の契約に関する法的判断は、消費生活センターまたは弁護士にご相談ください。

この記事を書いた人

さかとく

婚活サロン 彩星(さいせい)主宰/IBJ加盟結婚相談所 現役カウンセラー

IBJ加盟の結婚相談所で現役カウンセラーとして活動中。これまでに累計200名以上を担当し、今も第一線で数十名を並行サポートしているため、今の市場と現場を踏まえた助言ができます。ウェブマーケティングのライターとして培った「選ばれる見せ方」と、年間数千人の応募が集まる企業で人事部長として採用責任者を務めた「人を見極める視点」を、婚活に翻訳してお伝えしています。

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