
この記事でわかること
- 費用・会う人数・本気度・時間の4軸で、いまの自分がどちらから始めるべきか判断できます
- 相談所は平均8〜12ヶ月で年30〜60万円、アプリは平均2〜3年で年3〜6万円。差の中身がわかります
- 比較記事の「成婚率」「会員数」が横並びで比べられない理由と、確認すべき質問がわかります
- 8日間のクーリング・オフと解約料の上限(開始後は2万円または残代金の20%)という出口を知れます
先に結論です。会う人数を増やして場数を踏みたい時期はアプリ寄り、半年から1年で結論を出したい時期は結婚相談所寄り。どちらが優れているという話ではなく、いま自分の婚活が詰まっている場所で選ぶものだと考えています。
この記事で扱うのは、「結婚相談所アプリ」と検索した人が知りたい次の4点です。①この言葉が指す3つの意味、②公的データから見える両者の実態、③費用・会う人数・本気度・時間の4軸比較、④どちらから始めるかの判断フロー。あわせて、比較記事に並ぶ「成婚率」「会員数」という数字が実は横並びで比べられない理由、そして高額な契約でも出口が法律で守られている仕組みにも触れます。特定の相談所名・アプリ名は挙げず、手段のカテゴリとして比べます。
この記事は結婚相談所の現役カウンセラー「さかとく」が書いています
IBJ加盟相談所で今も数十名の会員を直接担当する現場経験をもとに、一般論ではなく「実際どうすればいいか」をお伝えします。
「結婚相談所アプリ」は3つの意味に分かれる
この言葉で検索する人は、実は別々のことを探しています。整理すると次の3つ。
- 比較としての「結婚相談所とマッチングアプリ、どっちがいいのか」――検索の大半はここです。
- スマホで完結する相談所(オンライン型)を探している――来店せず、面談もオンラインで進める形態。
- 相談所の会員が使う専用アプリのこと――すでに入会済みの人が、お相手検索やお見合い申し込みに使う会員システム。
この記事は①を軸に、②と③も必要な範囲で説明します。
用語の前提も先に。本サイトが扱うのはIBJ(日本結婚相談所連盟)に加盟する相談所での婚活で、進行はお見合い → 仮交際 → 真剣交際 → 成婚の4段階です。アプリの「いいね」は相談所では「お見合い申し込み」、「マッチング」は「お見合い成立」にあたります。仮交際は複数の方と並行して会える期間、真剣交際は一人に絞る期間。この段階の違いが、後ほどの判断フローで効いてきます。
数字で見る実態:出会いの主流はアプリ、結婚までの速さは相談所
まず、読者が持ちやすい思い込みを数字で更新しておきます。「婚活市場は縮んでいる」という感覚。これは直近のデータとは合いません。厚生労働省の人口動態統計(2025年の月報年計・概数)では婚姻件数は48万9,119組で、前年から約4,000組増え2年連続の増加でした。追い風が吹いている側です。
では、結婚した人はどこで出会っているのか。明治安田生命の「いい夫婦の日」アンケート調査(2025年11月発表)では、直近5年に結婚した人の出会いのきっかけ1位がマッチングアプリで25.1%、2位が職場・仕事関係の20.5%。アプリは3年連続でトップです。MMD研究所の調査(20〜69歳・30,000人、2025年9月)でも、マッチングサービス・アプリの利用経験率は39.5%、20代では53.9%。もう「特殊な手段」ではありません。
一方、リクルート ブライダル総研「婚活実態調査2024」では、2023年に結婚した人のうち婚活サービス経由が15.3%、そのうちネット系婚活サービス経由が11.4%で過去最高でした。同じ調査には「利用者のうち結婚した人の割合」として婚活サイト45.2%、結婚相談所29.8%という数字もありますが、ここは読み方に注意が必要です。利用者の年齢層・本気度・利用期間がサービスごとに違うため、この2つの数字を並べて「サイトのほうが結婚しやすい」と結論づけることはできません。調査設計上の母集団が異なる、というだけの話です。
期間の数字は対照的です。相談所は入会から成婚退会まで平均8〜12ヶ月が目安で、IBJ公式も「約9ヶ月で成婚へ」と表記しています。アプリは登録から結婚まで平均2〜3年という解説が多い(事業者による解説値のため幅があります)。この差が、後述する「時間」の軸そのものです。
現場の肌感覚も添えておきます。無料相談にいらっしゃる方で「アプリを1年以上使ったけれど、会う前のやり取りで止まってしまう」というご相談は珍しくありません。逆に「まだ誰とも会ったことがない」という方が最初から相談所に来ると、お見合いの場そのものに緊張して力を発揮しきれないこともあります。いずれも統計値ではなく、私たちが見ている範囲の傾向です(個人差があります)。
費用・会う人数・本気度・時間の4軸で比較する
比較軸を増やすほど判断は鈍ります。実務で役に立つのは次の4つだけです。
| 軸 | マッチングアプリ・婚活サイト | 結婚相談所(IBJ加盟などの仲介型) |
|---|---|---|
| 費用 | 男性は月3,500〜5,000円前後、女性は基本無料のものが多い。年間3〜6万円が目安 | 初期費用5〜20万円/月会費1〜3万円/お見合い料0〜1万円・回/成婚料10〜30万円。年間30〜60万円。オンライン型は年間20万円前後の目安 |
| 会う人数 | 母数が大きく、自分の操作次第で多く会える。ただし会う前に消える確率も高い | 申し込み数に上限がある代わりに、成立すれば実際に会える確率が高い |
| 本気度の担保 | 提出書類は身分証のみが基本。結婚意欲は本人の申告 | 独身証明書が必須。収入・学歴証明を求める相談所も多い |
| 時間 | 結婚までの平均は2〜3年という解説が多い | 平均8〜12ヶ月、IBJ公式は「約9ヶ月」と表記 |
※費用相場は結婚相談所比較ネット・メルティア等の公表情報、書類要件はIBJ公表情報に基づく目安です。相談所ごとに体系が異なり、改定もあります。契約前に必ず書面で確認してください。

費用:年3〜6万円と年30〜60万円の差をどう見るか
金額差は約10倍。ここで多くの方が止まります。ただ、この差を「サービスの質の差」と読むと判断を誤ります。相談所の費用の中身は、会員の身元確認、お見合いの日程・場所の調整、交際中の相談対応、そして断りの連絡の代行です。自分でやらなくていい作業に対する費用、と考えるほうが実態に近い。平日の夜に疲れた頭で日程調整のやり取りをする時間を、お金で買っているわけです。
高額でも「出口」は法律で守られている
ここは比較記事がほとんど書かない点なので、丁寧に説明します。結婚相手紹介サービスは特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当します。これにより次の保護があります。
- 契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフが可能(無条件で解約できる)
- 契約期間が2ヶ月を超え、かつ金額が5万円を超える契約は、期間中いつでも理由不要で中途解約できる
- 中途解約時の解約料には上限がある。サービス開始前は3万円、開始後は「2万円」または「残りの代金の20%」の低い方
つまり、合わないと感じたときに全額が消えるわけではありません。アプリとの決定的な違いはここだと考えています。「やめられないのが怖い」という不安には、法律上の出口が用意されている、が答えです。
関連して、国民生活センターに寄せられる結婚相手紹介サービスの相談件数は2022年8,892件 → 2023年6,936件 → 2024年4,381件と減少傾向にあります。「相談所はトラブルが多い」という前提は、少なくとも数字の上では更新されつつある。もちろん0件ではありませんから、契約内容の確認は省けません。
会う人数と本気度:どちらを削れるか
会う人数は、アプリのほうが理屈のうえでは多く取れます。相談所は申し込み可能数に上限があり、サービスによっては検索からの申し込みが月50名までといった制限も設けられています。
一方で、本気度の担保には明確な差があります。相談所では独身証明書の提出が必須で、収入証明や学歴証明を求めるところも多い。IBJは加盟相談所が共通して使えるシステムを持ち、2025年4月末時点で会員9万人以上、月間8万件のお見合いが成立していると公表しています。書類で前提が揃っているため、会ってから「実は既婚だった」「結婚する気はなかった」という落とし穴に落ちる確率が構造的に低くなります。
この比較で信じてはいけない数字が3つある
世の中の比較記事を見ていて、いちばん気になるのがここです。
1つめ、成婚率。この数字は横並びで比べられません。計算の分母を「その期間の全退会者」にするか「在籍している会員数」にするかで、同じ実績でも数字が2〜3倍変わります。IBJ系では「成婚退会者÷全退会者」が一般的で、成婚の定義も「婚約(プロポーズの成功)」とされています。一方、別の連盟では参画各社が独自に算出しており、計算方法が統一されていないという指摘もあります(ツヴァイ、結婚相談所比較ネット等の解説)。成婚率の表を見たら、聞くべき質問は一つ。「その分母は何ですか」です。
2つめ、会員数。「会員数10万人」という表記は、多くの場合その相談所の会員数ではなく加盟している連盟全体の数字です。IBJは104,673人・加盟4,734社、CONNECT-shipは直属26,164人に対し提携を含めると95,115人、良縁会は7,249人・提携含め48,684人といった具合(連盟比較記事の集計値)。直属と提携を含む数字で3倍以上違うことがあるわけです。数字の大きさではなく、自分の希望条件に合う人がその中に何人いるかが実際の母数になります。
3つめ、「アプリ完結」という表現。相談所の会員専用アプリでできるのは、基本的にお相手検索とお見合い申し込みまで。お見合いの日時と場所の調整は、双方のカウンセラーが行います(IBJ公表の流れ)。つまり「アプリ完結型」の多くは、来店が不要という意味であって、人が介在しないという意味ではありません。ここを曖昧にしたまま契約すると、期待と実態がずれます。
費用が厳しいときの第3の選択肢
年間30〜60万円は、誰にでも出せる金額ではありません。その場合に検討していただきたいのが自治体の婚活支援です。日経グローカルの調査では都道府県の66%がAIマッチングを導入、こども家庭庁の集計では令和5年度末時点で32府県が実施しています。東京都の「TOKYO縁結び」は本格稼働から約1年で登録2.8万人・成婚100組超と公表されています。独身証明書の提出を求める仕組みが多く、費用は無料または低額。民間の比較記事はこの選択肢をほぼ扱いませんが、「まず身元確認のある場で会ってみる」目的なら合理的な入口です。実施状況は自治体ごとに異なるので、お住まいの都道府県の公式サイトでご確認ください。
判断フロー:いま、どちらから始めるか
4軸を使って、順番に答えていけば入口は決まります。
- この1年で結婚したいか。はい → 相談所寄り(平均9〜12ヶ月)。いいえ、2〜3年かけてもいい → アプリから。
- これまでに何人と実際に会ったか。5人未満 → まずは会う場数。アプリまたは自治体の支援から。10人以上会って決まっていない → 第三者の視点が必要。相談所寄り。
- やり取りや日程調整に使える時間と気力があるか。ない → 調整を代行してもらえる相談所寄り。
- 年間30万円以上を婚活に出せるか。難しい → オンライン型(年間20万円前後の目安)か自治体の支援を先に。
向いている人・向いていない人
アプリが向いているのは、自分で判断して動けるタイプ。写真やプロフィールを自分で改善でき、断られても次に行ける方。向いていないのは、やり取りの途中で消える(いわゆる自然消滅)ことに強く消耗する方です。
相談所が向いているのは、期限を決めて動きたい方、断りの連絡を自分でしたくない方、そして「自分の何が原因で進まないのか」を第三者に言葉にしてもらいたい方。向いていないのは、まだ結婚そのものを迷っている段階の方です。費用に対して得られるものが小さくなってしまいます。この場合は、迷いを整理するほうが先。
併用はありか――通説への異論
「併用は不誠実」「どちらかに絞るべき」とよく言われます。私は、段階によって答えが変わると考えています。相談所の仮交際は、もともと複数の方と並行して会える期間です。その時期にアプリを併用していても、ルール違反ではありません(規約は相談所ごとに違うので、入会時に必ず確認してください)。
❌「真剣交際に入ったけれど、保険としてアプリは残しておく」
⭕「仮交際のうちは両方動かし、真剣交際に入ったらアプリは退会する」
線を引くのは真剣交際。ここを越えてからの併用は、信頼を壊すリスクのほうが大きい。実際、真剣交際に入ってからの併用が原因で関係が終わってしまったというご相談は、残念ながらあります(※個人が特定されないよう、複数の事例をもとに内容を再構成しています)。
もう一つ、費用面での注意。併用すると当然ながら費用は合算されます。相談所の月会費を払いながらアプリにも課金し、どちらも中途半端な稼働になっているケースを現場ではよく見ます。併用するなら「アプリは週に何分」と時間を先に決めてしまうのが現実的です。
自分がどちらのタイプで、いまどの段階にいるのか――ここが曖昧なまま手段を選ぶと、費用も時間も無駄になります。サイト内の婚活タイプ診断(10問・約3分)は、2つの軸であなたの進め方の傾向を整理するものです。手段を決める前の棚卸しに使ってください。
よくある質問
Q. 結論、結婚相談所とアプリはどっちがいいのですか?
A. 期限と場数で決まります。1年以内に決めたい、すでに10人以上会って進まない、日程調整の時間がない――この3つのうち2つ以上当てはまるなら相談所寄り。まだ会った人数が少なく、時間に余裕があるならアプリや自治体の支援から始めるほうが費用効率は良いです。
Q. 30代はどちらから始めるべきですか?
A. 30代は「残り時間」より「使い方」で差が出る年代です。アプリで会えているのに決まらない場合、問題は出会いの数ではなく選び方や進め方にあります。その場合は手段を変えるより伴走者を入れるほうが早い。詳しくは婚活30代女性の進め方|成婚率35.8%と10.7か月で逆算で逆算の考え方を書いています。
Q. 20代にもおすすめできますか?
A. 20代はアプリの利用経験率が53.9%(MMD研究所)と高く、まず母数の大きい場で会ってみるのは自然な選択です。ただ相談所側も20代向けの料金設定を用意しているところが多く、「早すぎる」とは言えません。判断材料は20代の婚活は平均187日|早すぎない理由と手段の選び方にまとめました。
Q. できるだけ安く始めたいのですが、どこを削れますか?
A. 削れるのは「対面のサポート」です。オンライン型の相談所は年間20万円前後が目安で、店舗型の約50万円と比べると差があります。さらに費用を抑えるなら自治体のAIマッチングから。削ってはいけないのは独身証明書などの身元確認がある仕組みを選ぶこと。ここを削ると、トラブルの確率が上がります。
Q. 契約した後に合わないと感じたらどうなりますか?
A. 書面を受け取ってから8日以内はクーリング・オフ、それ以降も契約期間2ヶ月超・5万円超の契約なら理由なく中途解約できます。解約料の上限はサービス開始前なら3万円、開始後は2万円または残代金の20%の低い方。契約書にこれと異なる記載があれば、その場で確認してください。
この記事の要点と、次の一歩
- 判断軸は費用・会う人数・本気度・時間の4つ。期限が近いほど相談所寄り、場数が足りないほどアプリ寄り
- 費用の目安はアプリ年3〜6万円、相談所年30〜60万円(オンライン型は20万円前後)。期間は平均2〜3年と8〜12ヶ月
- 比較記事の成婚率と会員数は横並びで比べられない。分母と、連盟全体の数字かどうかを必ず確認する
- 相談所の契約は特定商取引法の対象。8日間のクーリング・オフと解約料の上限という出口がある
- 費用が厳しければ自治体のAIマッチングという第3の選択肢がある(32府県が実施/令和5年度末時点)
- 併用は仮交際までなら現実的。真剣交際に入ったら止めるのが線引き
手段を変える前に、やることが一つあります。いまの詰まりが「出会いの数」なのか「選び方」なのか「進め方」なのかを分けること。ここを間違えると、アプリから相談所に移っても同じ場所で止まります。
自分だけで切り分けるのが難しいときは、状況の整理から一緒にやれます。無料相談についてでは現状の棚卸しと「次の一歩」の提案までを行い、入会を前提にした勧誘はしません。手段の比較ではなく進め方そのものを設計したい場合は有料カウンセリングもあります。相談所に入る前に何を聞いておくべきかは結婚相談所の無料相談で聞く15の質問|断り方の例文つきにまとめました。
注記:本記事の数値は各調査・公表資料の公表時点のもので、料金相場や期間は目安です。相談所ごと・サービスごとに体系が異なり、改定されることもあります。調査は母集団(年齢層・対象者の条件・調査時期)が異なるため、異なる調査の数値同士を直接比較することはできません。活動の成果には個人差があり、特定の結果を保証するものではありません。契約内容・解約条件は必ず契約書面と各公式サイトでご確認ください。
出典
- 厚生労働省「令和7(2025)年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」――婚姻件数48万9,119組・2年連続増加(国の公的統計)
- 明治安田生命「いい夫婦の日」に関するアンケート調査(2025年11月19日発表)――直近5年に結婚した人の出会いのきっかけ1位マッチングアプリ25.1%(民間大手の調査)
- MMD研究所「2025年マッチングサービス・アプリの利用実態調査」(20〜69歳の男女30,000人、2025年9月19〜24日実施)――利用経験率39.5%・20代53.9%
- リクルート ブライダル総研「婚活実態調査2024」(2024年9月24日発表)――2023年婚姻者のうち婚活サービス経由15.3%、ネット系11.4%、サービス別の結婚者割合(調査対象・母集団がサービスごとに異なる点に留意)
- IBJ公式サイト――「約9ヶ月で成婚へ」の表記、会員9万人以上・月間8万件のお見合い(2025年4月末時点)、独身証明書の提出必須、お見合い調整の流れ(業界団体・事業者の公表値)
- 結婚相談所比較ネット、メルティア、my-best、オリコン顧客満足度ランキング等――結婚相談所・マッチングアプリの費用相場、成婚率の計算方法の違い(事業者・比較媒体による集計のため参考値)
- ツヴァイ公式ブログ「成婚の定義」――成婚=婚約の定義、成婚率の分母の考え方
- 国民生活センター「各種相談の件数や傾向」――結婚相手紹介サービスの相談件数推移(2022年8,892件/2023年6,936件/2024年4,381件)
- 国民生活センターおよび自治体消費生活センターの公表資料――特定継続的役務提供のクーリング・オフ8日間、中途解約権、解約料の上限(開始前3万円/開始後は2万円または残代金の20%の低い方)
- 日経グローカル――都道府県の婚活支援でAIマッチング66%導入/こども家庭庁「地域少子化対策強化事業」説明資料――令和5年度末時点32府県/東京都「TOKYO縁結び」公式サイト――登録者数・成婚組数
